はじめに
高校一年生の時に習うけれど、
受験の時にはもう忘れていることが多い活用の種類(四段活用など)と行(ア行など)。
そのなかでも「ア行」「ヤ行」「ワ行」の区別がつかない生徒は多いです。
たとえば
「得」「老ゆ」「飢う」の区別です。
本記事はその三つの区別について書きます。
なお、活用の種類のまとめはこちらもご覧ください。
概要
ワ行は「わ・ゐ・ゆ・ゑ・を」
ア行は「得」だけ
この二点を理解することがすべてです。
解説
ヤ行・ワ行の「a.i.u.e.o」
現代語には「あ、い、う、え、お」「か、き、く、け、こ」などがありますが、古文にもあります。ただし古文では少し異なります。それは「ヤ行」と「ワ行」です。
たとえば現代語では
- やゆよ
- わを(ん)
となります。知っている生徒であれば
- やいゆえよ
- わいうえを
というかもしれません。
それでは古文ではどうなるのでしょうか。以下の表を見てください。
ついでにア行も記したのでご覧ください。
注目すべきはワ行です。ワ行が「わ・ゐ・う・ゑ・を」となっていますね。
読み方は「わ・い・う・え・を」です。
現代では使われないのですが、古文の世界の人たちが使用していた仮名遣いおよび発音です。
「ゐ」は、
お笑い芸人浜口さんと有野さんのコンビ
「よゐこ」というコンビ名で使われていますね。
懐かしい…
ところで、
おそらく「い・え」と「ゐ・ゑ」は発音が違ったと考えられています。
よくある間違えとして、「や・ゐ・ゆ・ゑ・よ」としてしまいます。
「わ・ゐ・う・ゑ・を」ですので気を付けてください。
古文ワ行
わ・ゐ・う・ゑ・を
ワ・ヰ・ウ・ヱ・ヲ
「得」「老ゆ」「飢う」の区別
「老ゆ」
「得」「老ゆ」「飢う」のそれぞれの読み方ですが、
「得」は「う」、「老ゆ」は「おゆ」、「飢う」は「うう」です。
区別するにあたって一番簡単なのは「老ゆ」でしょう。なぜなら、「老ゆ」の終止形の活用語尾が「ゆ」だからです。
さきほどの表を見てみましょう。
一目瞭然ですね。
「得」と「飢う」の活用表のu段(終止形)が「う」であるのに対し、
「老ゆ」のu段(終止形)の活用語尾が「ゆ」なので、「や・い・ゆ・え・よ」より、「老ゆ」は「ヤ行」です。
ちなみに「老ゆ」は上二段活用「い・い・ゆ・ゆる・ゆれ・いよ」と活用します。
「得」
さて、残った「得」と「飢う」の識別ですが、このポイントは「得」です。
結論をいうと
「得」はア行!!
ということです。
基本的には、
「ア行は『得』だけ」
と考えてください。もちろん「心得」などもア行ですよ。
ちなみに「得」は下二段活用で「え・え・う・うる・うれ・えよ」と活用します。
「飢う」
まず「飢う」はワ行です。
それは「飢う」の終止形の活用語尾が「う」だからです。
この中でu段に注目すると、「う」なのはア行とワ行ということが分かります。
ここで思い出してほしいのが「ア行は『得』だけ」ということです。
とすると、「飢う」のような、終止形の活用語尾が「う」のものはワ行ということが分かります。
「飢う」は下二段活用で「ゑ・ゑ・う・うる・うれ・ゑよ」と活用します。
以下がまとめです。
・ア行は「得」だけ
・ヤ行は「-ゆ」(例)「老ゆ・報ゆ」など
・ワ行は「-う」(例)「飢う・植う」など
よくある問題
よくある問いとしてこのようなものがあります。
問、「翁、老いけり。」の「老い」の活用形と活用の種類を答えよ。
という問題です。
これは「けり」がついているので「老い」は連用形ですね。
そして、連用形の活用語尾が「い」で、
それを終止形に直すと「老ゆ」なので、
「老い」はヤ行上二段活用です。
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