はじめに
本記事では用言のなかの「動詞」にクローズアップし、そのなかでも「各活用形に接続する語」について書きます。
用言(動詞・形容詞・形容動詞)が何か、各活用(未然形・連用形・終止形・連体形・已然形・命令形)とは何かについて更に学びたい方は以下もどうぞ。
ここで注意ですが、ここで書く「接続する語」はあくまで、動詞に関してですので、他の用言である形容詞・形容動詞に接続する語とは混同しないよう気をつけてください。
概要

口語文法(現代語)で接続する語
未然形)「ない」「(よ)う」
例)「食べない」「食べよう」
連用形)「ます」「て/で」「た/だ」
例)「食べます」「食べて」「食べた」
終止形)「。」
例)「食べる。」
連体形)「とき」
例)「食べるとき」
仮定形)「ば」
例)「食べれば」
命令形) ✖
例)「食べろ」
文語文法(古文)で接続する語
未然形)「ず」「む」
例)「読まず」「読まむ」
連用形)「て」「けり」
例)「読みて」「読みけり」
終止形)「。」「べし」
例)「読む。」「読むべし」
連体形)「とき」(※「べし」)
例)「読むとき」(※「あるべし」)
※ 「べし」などの終止形に接続する助動詞は、ラ変動詞に接続する場合は終止形ではなく連体系に接続する
已然形)「ども」
例)「読めども」
命令形) ✖
例)「読め」
解説
口語文語の接続する語

これは口語文法(現代語)の動詞に接続する語です。
未然形には
助動詞の打消「ない」
意志・推量・勧誘(以下、意志)「(よ)う」
などが接続します。
意志「(よ)う」は「読もう」「食べよう」と接続します。
- 読まない/食べない
- 読もう/食べよう
連用形には
助動詞の丁寧「ます」
過去・完了・存続(以下、過去)「た/だ」
助詞「て/で」
などが接続します。
過去「た/だ」は「読んだ」「食べた」のように接続します。
※「読んだ」の「ん」は「読み」の撥音便化(特定の音が発音の都合「ん」になること)したもの
助詞「て/で」は「読んで」「食べて」のように接続します。
- 読みます/食べます
- 読んだ/食べた
- 読んで/食べて
終止形は言い切りなので便宜上「。」が接続するとします。
表には記してませんが一応、伝聞「そうだ」は終止形に接続します。
- 読み。/食べる。
- 読むそうだ/食べるそうだ。
連体形には
体言(名詞)「とき」
などが接続します。
ほかに「もの」「こと」なども接続します。
- 読むとき/食べるとき
※終止形と連体形は同じ形なので接続する語でそれらを区別する。簡単なのは体言が接続していたら連体形というもの
仮定形には、
助詞「ば」
などが接続します。
- 読めば/食べれば
命令形は特に接続する語がありません。文意が命令しているかがポイントです。
- 読め/食べろ

それでは次に古文における文法(文語文法)を確認しましょう。
文語文法の接続する語

これは文語文法(古文)の動詞に接続する語です。
未然形には
助動詞の打消「ず」
推量「む」などが接続します。
- 読まず(読まない)/あらず(ない)
- 読まむ(読むだろう)/あらむ(あるだろう)
※「む」の意味には推量のほかに意志(~しよう)・適当/勧誘(~がよい)・仮定(~としたら)・婉曲(~ような)もある。
連用形には
助詞「て」
助動詞の過去「けり」
などが接続します。
- 読みて(読んで)/ありて(あって)
- 読みけり(読んだ)/ありけり(あった)
終止形には
「。」
助動詞の推量「べし」
などが接続します。
- 読む。(読む。)/あり。(ある。)
- 読むべし(読むだろう)/あるべし(あるだろう)
※「べし」には推量のほかに意志(~しよう)・可能(~ことができる)・当然/義務(~はずだ/~するべきだ)・命令(~せよ)・適当/勧誘(~がよい)もある
※「べし・らむ・らし・めり・べし・まじ」の終止形に接続する助動詞たちは、ラ変動詞に接続する場合には、終止形ではなく連体形に接続する。
例)✖終止形「あり」+「べし」=「ありべし」
〇連体形「ある」+「べし」=「あるべし」
連体形には
「とき」などの体言
が接続します。
- 読むとき(読むとき)/あるとき(あるとき)
※ラ変動詞の連体形には、終止形接続の助動詞(「べし・らむ・らし・めり・べし・まじが」)接続する。
〇連体形「ある」+「べし」=「あるべし」
已然形には
助詞「ども」
などが接続します。
- 読めども(読むけれど)/あれども(あるけれど)
※「ども」は逆説を表す接続助詞で「~けれども」などと訳す。
命令形には特になにも接続しない。
読め(読め)/あれ(あれ)
※文意が命令になる。

このように動詞には、各活用形ごとに接続する語があるので、必ずそれを覚えましょう。
すると、初めて見るような動詞でもその活用の種類や活用形などが見抜けます。
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