和歌知識・百人一首

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和歌知識

基本知識

係り結び

修辞法

百人一首

【凡例】

〇ルビ(読み仮名)については、

(例)のように歴史的仮名遣い(しろた)は現代仮名遣い(しろた)に改めている。

青字の各和歌を押すと詳細ページに飛ぶ。

〇表現技法については

(例)のように

「夏来にけらし」は「二句切れ」

「白妙の」は「枕詞」

「天の香具山」は「体言止め」

で対応している。

(例)

番号和歌作者表現技法
2春すぎてはるすぎて 
夏来にけらしなつきにけらし 
白妙のしろたえの
衣ほすてふ 
の香具山
持統天皇じとうてんのう
二句切れ
枕詞

体言止め
 

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番号和歌作者表現技法
1秋の田のあきのたの
かりほの庵のかりおのいおの
苫をあらみとまをあらみ
わが衣手はわがころもでは
露にぬれつつつゆにぬれつつ
天智天皇てんじてんのう
(中大兄皇子なかのおおえのおうじ)

畳語/掛詞?
形容詞語幹用法

つつ止め
2春すぎてはるすぎて 
夏来にけらしなつきにけらし 
白妙のしろたえの
衣ほすてふころもほすちょう 
天の香具山あまのかぐやま
持統天皇じとうてんのう
二句切れ
枕詞

体言止め
3あしびきのあしび(ひ)きの 
山鳥の尾のやまどりのおの 
しだり尾のしだりおの
ながながし夜をながながしよを 
ひとりかも寝むひとりかもねん
柿本人麻呂かきのもとのひとまろ枕詞

序詞

係り結び
4田子の浦にたごのうらに 
うち出でてみればうちいでてみれば 
白妙のしろたえの
富士の高嶺にふじのたかねに 
雪は降りつつゆきはふりつつ
山部赤人やまべのあかひと
5奥山におくやまに 
紅葉踏みわけもみじふみわけ 
鳴く鹿のなくしかの
声きく時ぞこえきくときぞ 
秋は悲しきあきはかなしき
猿丸大夫さるまるだゆう
6かささぎのかささぎの 
渡せる橋にわたせるはしに 
おく霜のおくしもの
白きをみればしろきをみれば 
夜ぞふけにけるよるぞふけにける
中納言家持ちゅうなごんやかもち
(大伴家持おおとものやかもち)
7天の原あまのはら 
ふりさけ見ればふりさけみれば 
春日なるかずがなる
三笠の山にみかさのやまに 
出でし月かもいでしつきかも
安倍仲麿あべのなかまろ
8わが庵はわがいおは 
都のたつみみやこのたつみ 
しかぞすむしかぞすむ
世をうぢ山とよをうじやまと 
人はいふなりひとはいうなり
喜撰法師きせんほうし
9花の色ははなのいろは 
うつりにけりなうつりにけりな 
いたづらにいたずらに
わが身世にふるわがみよにふる 
ながめせしまにながめせしまに
小野小町おののこまち
10これやこのこれやこの 
行くも帰るもゆくもかえるも 
別れてはわかれては
知るも知らぬもしるもしらぬも 
逢坂の関おうさかのせき
蝉丸せみまる
11わたの原わたのはら 
八十島かけてやそしまかけて 
漕ぎ出でぬとこぎいでぬと
人には告げよひとにはつげよ 
海人の釣舟あまのつりぶね
参議篁さんぎたかむら
(小野篁)おののたかむら
12天つ風あまつかぜ 
雲の通ひ路くものかよいじ 
吹き閉ぢよふきとじよ
をとめの姿をとめのすがた 
しばしとどめむしばしとどめん
僧正遍照そうじょうへんじょう
(良岑宗貞よしみねのむねさだ)
13筑波嶺のつくばねの 
峰より落つるみねよりおつる 
男女川みなのがわ
恋ぞつもりてこいぞつもりて 
淵となりぬるふちとなりぬる
陽成院ようぜいいん
14陸奥のみちのくの 
しのぶもぢずりしのぶもじずり 
誰ゆゑにたれゆえに
乱れそめにしみだれそめにし 
われならなくにわれならなくに
河原左大臣かわらのさだいじん
(源融みなもとのとおる)
15君がためきみがための 
春の野に出でてはるののにいでて 
若菜つむわかなつむ 
わが衣手にわがころもでに 
雪は降りつつゆきはふりつつ
光孝天皇こうこうてんのう
16たち別れたちわかれ 
いなばの山のいなばのやまの 
峰に生ふるみねにおうる 
まつとし聞かばまつとしきかば 
今帰り来むいまかえりこん
中納言行平ちゅうなごんゆきひら
(在原行平ありわらのゆきひら)
17ちはやぶるちはやぶる 
神代も聞かずかみよのきかず 
竜田川たつたがわ 
からくれなゐにからくれないに 
水くくるとはみずくくるとは
在原業平朝臣ありわらのなりひらあそん
(在原業平ありわらのなりひら)
18住の江のすみのえの 
岸による波きしによるなみ 
よるさへやよるさえや 
夢の通ひ路ゆめのかよいじ 
人めよくらむひとめよくらん
藤原敏行朝臣ふじわらのとしゆきあそん
(藤原敏行ふじわらのとしゆき)
19難波潟なにわがた 
みじかき芦のみじかきあしの 
ふしの間もふしのまも 
逢はでこの世をあわでこのよを 
過ぐしてよとやすぐしてよとや
伊勢いせ
20わびぬればわびぬれば 
今はた同じいまはたおなじ 
難波なるなにわなる 
みをつくしてもみをつくしても 
逢はむとぞ思ふあわんとぞおもう
元良親王もとよししんのう
21今来むといまこんと 
言ひしばかりにいいしばかりに 
長月のながつきの 
有明の月をありあけのつきを 
待ち出でつるかなまちいでつるかな
素性法師そせいほうし
(良岑玄利よしみねのはるとし)
22 吹くからにふくからに 
秋の草木のあきのくさきの 
しをるればしおるれば 
むべ山風をむべやまかぜを 
嵐といふらむあらしというらん
文屋康秀ふんやのやすひで
23月見ればつきみれば 
ちぢにものこそちぢにものこそ 
悲しけれかなしけれ 
わが身一つのわがみひとつの 
秋にはあらねどあきにはあらねど
大江千里おおえのちさと
24このたびはこのたびは 
ぬさもとりあへずぬさもとりあえず 
手向山たむけやま 
紅葉の錦もみじのにしき 
神のまにまにかみのまにまに
菅家かんけ
(菅原道真すがわらのみちざね)
25名にしおはばなにしおわば 
逢坂山のおうさかやまの 
さねかづらさねかずら 
人にしられでひとにしられで 
くるよしもがなくるよしもがな
三条右大臣さんじょうのうだいじん
(藤原定方ふじわらのさだかた)
26小倉山おぐらやま 
峰のもみぢ葉みねのもみじは 
心あらばこころあらば 
今ひとたびのいまひとたびの 
みゆき待たなむみゆきまたなん
貞信公ていしんこう
(藤原忠平ふじわらのただひら)
27みかの原みかのはら 
わきて流るるわきてながるる 
泉川いずみがわ 
いつ見きとてかいつみきとてか 
恋しかるらむこいしかるらん
中納言兼輔ちゅうなごんかねすけ
(藤原兼輔ふじわらのかねすけ)
28山里はやまざとは 
冬ぞさびしさふゆぞさびしさ 
まさりけるまさりける 
人目も草もひとめもくさも 
かれぬと思へばかれぬとおもえば
源宗于朝臣みなもとのむねゆきあそん
(源宗于みなもとのむねゆき)
29心あてにこころあてに 
折らばや折らむおらばやおらん 
初霜のはつしもの 
置きまどはせるおきまどわせる 
白菊の花しらぎくのはな
凡河内躬恒おおしこうちのみつね
30有明のありやけの 
つれなく見えしつれなくみえし 
別れよりわかれより 
あかつきばかりあかつきばかり 
憂きものはなしうきものはなし
壬生忠岑みぶのただみね
31朝ぼらけあさぼらけ 
有明の月とありあけのつきと 
見るまでにみるまでに 
吉野の里によしののさとに 
降れる白雪ふれるしらゆき
坂上是則さかのうえのこれのり
32山川にやまがわに 
風のかけたるかぜのかけたる 
しがらみはしがらみは 
流れもあへぬながれもあえぬ 
紅葉なりけりもみじなりけり
春道列樹はるみちのつらき
33ひさかたのひさかたの 
光のどけきひかりのどけき 
春の日にはるのひに 
静心なくしずこころなく 
花の散るらむはなのちるらん
紀友則きのとものり
34誰をかもたれをかも 
知る人にせむしるひとにせん 
高砂のたかさごの 
松も昔のまつもむかしの 
友ならなくにともならなくに
藤原興風ふじわらのおきかぜ
35人はいさひとはいさ 
心も知らずこころもしらず 
ふるさとはふるさとは 
花ぞ昔のはなぞむかしの 
香ににほひけるかににおいける
紀貫之きのつらゆき
36夏の夜はなつのよは 
まだ宵ながらまだよいながら 
明けぬるをあけぬるを 
雲のいづこにくものいずこに 
月宿るらむつきやどるらん
清原深養父きよはらのふかやぶ
37白露にしらつゆに 
風の吹きしくかぜのふきしく 
秋の野はあきののは 
つらぬきとめぬつらぬきとめぬ 
玉ぞ散りけるたまぞちりける
文屋朝康ふんやのあさやす
38忘らるるわすらるる 
身をば思はずみをばおもわず 
誓ひてしちかいてし 
人の命のひとのいのちの 
惜しくもあるかなおしくもあるかな
右近うこん
39浅茅生のあさじうの 
小野の篠原おののしのはら 
しのぶれどしのぶれど 
あまりてなどかあまりてなどか 
人の恋しきひとのこいしき
参議等さんぎひとし
(源等みなもとのひとし)
40しのぶれどしのぶれど 
色に出でにけりいろにいでにけり 
わが恋はわがこいは 
物や思ふとものやおもうと 
人の問ふまでひとのとうまで
平兼盛たいらのかねもり
41恋すてふこいすちょう 
わが名はまだきわがなはまだき 
立ちにけりたちにけり 
人知れずこそひとしれずこそ 
思ひそめしかおもいそめしか
壬生忠見みぶのただみ
42契りきなちぎりきな 
かたみに袖をかたみにそでを 
しぼりつつしぼりつつ 
末の松山すえのまつやま 
波越さじとはなみこさじとは
清原元輔きよはらのもとすけ
43逢ひ見てのあいみての 
のちの心にのちのこころに 
くらぶればくらぶれば 
昔は物をむかしはものを 
思はざりけりおもわざりけり
権中納言敦忠ごんちゅうなごんあつただ
(藤原敦忠ふじわらのあつただ)
44逢ふことのおうことの 
絶えてしなくはたえてしなくは 
なかなかになかなかに 
人をも身をもひとをもみをも 
恨みざらましうらみざらまし
中納言朝忠ちゅうなごんあさただ
(藤原朝忠ふじわらのあさただ)
45あはれともあわれとも 
いふべき人はいうべきひとは 
思ほえでおもおえで 
身のいたづらにみのいたずらに 
なりぬべきかななりぬべきかな
謙徳公けんとくこう
(藤原伊尹ふじわらのこれまさ)
46由良のとをゆらのとを 
渡る舟人わたるふなびと 
かぢを絶えかじをたえ 
ゆくへも知らぬ行くえも知らぬ 
恋の道かなこいのみちかな
曾禰好忠そねのよしただ
47八重葎やえむぐら 
しげれる宿のしげれるやどの 
さびしきにさびしきに 
人こそ見えねひとこそみえね 
秋は来にけりあきはきにけり
恵慶法師えぎょうほうし
48風をいたみかぜをいたみ 
岩うつ波のいわうつなみの 
おのれのみおのれのみ 
くだけて物をくだけてものを 
思ふころかなおもうころかな
源重之みなもとのしげゆき
49みかきもりみかきもり 
衛士のたく火のえじのたくひの 
夜は燃えよるはもえ 
昼は消えつつひるはきえつつ 
物をこそ思へものをこそおもえ
大中臣能宣おおなかとみのよしのぶ
50君がためきみがため 
惜しからざりしおしからざりし 
命さへいのちさえ 
長くもがなとながくもがなと 
思ひけるかなおもいけるかな
藤原義孝ふじわらのよしたか
51かくとだにかくとだに 
えやはいぶきのえやはいぶきの 
さしも草さしもぐさ 
さしも知らじなさしもしらじな 
燃ゆる思ひをもゆるおもいを
藤原実方朝臣ふじわらのさねかたあそん
(藤原実方ふじわらのさねかた)
52明けぬればあけぬれば 
暮るるものとはくるるものとは 
知りながらしりながら 
なほうらめしきなおうらめしき 
朝ぼらけかなあさぼらけかな
藤原道信朝臣ふじわらのみちのぶあそん
(藤原道信ふじわらのみちのぶ)
53嘆きつつなげきつつ 
ひとり寝る夜のひとりねるよの 
明くる間はあくるまは 
いかに久しきいかにひさしき 
ものとかは知るものとかはしる
右大将道綱母うだいしょうみちつなのはは
(藤原道綱母ふじわらのみちつなのはは)
54忘れじのわすれじの 
行く末まではゆくすえまでは 
かたければかたければ 
今日を限りのきょうをかぎりの 
命ともがないのちともがな
儀同三司母ぎどうさんしのはは
(高階貴子たかしなのたかこ)
55滝の音はたきのおとは 
絶えて久しくたえてひさしく 
なりぬれどなりぬれど 
名こそ流れてなこそながれて 
なほ聞こえけれなおきこえけれ
大納言公任だいなごんきんとう
(藤原公任ふじわらのきんとう)
56あらざらむあらざらん 
この世のほかのこのよのほかの 
思ひ出におもいでに 
今ひとたびのいまひとたびの 
逢ふこともがなおうこともがな
和泉式部いずみしきぶ
57めぐりあひてめぐりあいて 
見しやそれともみしやそれとも 
わかぬ間にわかぬまに 
雲がくれにしくもがくれにし 
夜半の月かなやわのつきかな
紫式部むらさきしきぶ
58有馬山ありまやま 
猪名の笹原いなのささはら 
風吹けばかぜふけば 
いでそよ人をいでそよひとを 
忘れやはするわすれやはする
大弐三位だいにのさんみ
(藤原賢子ふじわらのかたこ)
59やすらはでやすらわで 
寝なましものをねなましものを 
さ夜更けてさよふけて 
かたぶくまでのかたぶくまでの 
月を見しかなつきをみしかな
赤染衛門あかぞめえもん
60大江山おおえやま 
いく野の道のいくののみちの 
遠ければとおければ 
まだふみもみずまだふみもみず 
天の橋立あまのはしだて
小式部内侍こしきぶのないし
61いにしへのいにしえの 
奈良の都のならのみやこの 
八重桜やえざくら 
けふ九重にきょうここのえに 
にほひぬるかなにおいぬるかな
伊勢大輔いせのたいふ
62夜をこめてよをこめて 
鳥のそらねはとりのそらねは 
はかるともはかるとも 
よに逢坂のよにおうさかの 
関はゆるさじせきはゆるさじ
清少納言せいしょうなごん
63今はただいまはただ 
思ひ絶えなむおもいたえなん 
とばかりをとばかりを 
人づてならでひとずてならで 
言ふよしもがないうよしもがな
左京大夫道雅さきょうのだいぶみちまさ
(藤原道雅ふじわらのみちまさ)
64朝ぼらけあさぼらけ 
宇治の川霧いじのかわぎり 
たえだえにたえだえに 
あらはれわたるあらわれわたる 
瀬々の網代木せぜのあじろぎ
権中納言定頼ごんちゅうなごんさだより
(藤原定頼ふじわらのさだより)
65恨みわびうらみわび 
ほさぬ袖だにほさぬそでだに 
あるものをあるものを 
恋に朽ちなむこいにくちなん 
名こそ惜しけれなこそおしけれ
相模さがみ
66もろともにもろともに 
あはれと思へあわれとおもえ 
山桜やまざくら 
花よりほかにはなよりほかに 
知る人もなししるひともなし
前大僧正行尊さきのだいそうじょうぎょうそん
(行尊ぎょうそん)
67春の夜のはるのよの 
夢ばかりなるゆめばかりなる 
手枕にたまくらに 
かひなく立たむかいなくたたん 
名こそ惜しけれなこそおしけれ
周防内侍すおうのないし
68心にもこころにも 
あらでうき世にあらでうきよに 
ながらへばながらえば 
恋しかるべきこいしかるべき 
夜半の月かなよわのつきかな
三条院さんじょういん
69嵐吹くあらしふく 
三室の山のみむろのやまの 
もみぢ葉はもみじばは 
竜田の川のたつたのかわの 
錦なりけりにしきなりけり
能因法師のういんほうし
(橘永愷たちばなのながやす)
70さびしさにさびしさに 
宿を立ち出でてやどをたちいでて 
ながむればながむれば 
いづこも同じいずこもおなじ 
秋の夕暮れあきのゆうぐれ
良暹法師りょうせんほうし
71夕さればゆうされば 
門田の稲葉かどたのいなば 
おとづれておとずれて 
芦のまろやにあしのまろやかに 
秋風ぞ吹くあきかぜぞふく
大納言経信だいなごんつねのぶ
(源経信みなもとのつねのぶ)
72音に聞くおとにきく 
高師の浜のたかしのはまの 
あだ波はあだなみは 
かけじや袖のかけじやそでの 
ぬれもこそすれぬれもこそすれ
祐子内親王家紀伊ゆうしないしんのうけのきい
73高砂のたかさごの 
尾の上の桜おのえのさくら 
咲きにけりさきにけり 
外山の霞とやまのかすみ 
立たずもあらなむたたずもあらなん
権中納言匡房ごんちゅうなごんまさふさ
(大江匡房おおえのまさふさ)
74憂かりけるうかりける 
人を初瀬のひとをはつせの 
山おろしよやまおろしよ 
はげしかれとははげしかれとは 
祈らぬものをいのらぬものを
源俊頼朝臣みなもとのとしよりあそん
(源俊頼みなもとのとしより)
75契りおきしちぎりおきし 
させもが露をさせもがつゆを 
命にていのちにて 
あはれ今年のあわれことしの 
秋もいぬめりあきもいぬめり
藤原基俊ふじわらのもととし
76わたの原わたのはら 
漕ぎ出でて見ればこぎいでてみれば 
ひさかたのひさかたの 
雲居にまがふくもいにまごう 
沖つ白波おきつしらなみ
法性寺入道ほっしょうじにゅうどう前関白太政大臣さきのかんぱくだいじょうだいじん
(藤原忠通ふじわらのただみち)
77瀬をはやみせをはやみ 
岩にせかるるいわにせかるる 
滝川のたきがわの 
われても末にわれてもすえに 
あはむとぞ思ふあわんとぞおもう
崇徳院すとくいん
78淡路島あわじしま 
かよふ千鳥のかようちどりの 
鳴く声になくこえに 
いく夜寝覚めぬいくよねざめぬ 
須磨の関守すまのせきもり
源兼昌みなもとのかねまさ
79秋風にあきかぜに 
たなびく雲のたなびくくもの 
絶え間よりたえまより 
もれ出づる月のもれいずるつきの 
影のさやけさかげのさやけさ
左京大夫顕輔さきょうのだいぶあきすけ
(藤原顕輔ふじわらのあきすけ)
80長からむながからん 
心も知らずこころもしらず 
黒髪のくろかみの 
乱れて今朝はみだれてけさは 
物をこそ思へものをこそおもえ
待賢門院堀河たいけんもんいんのほりかわ
81ほととぎすほととぎす 
鳴きつる方をなきつるかたを 
ながむればながむれば 
ただ有明のただありあけの 
月ぞ残れるつきぞのこれる
後徳大寺左大臣ごとくだいじのさだいじん
(藤原実定ふじわらのさねさだ)
82思ひわびおもいわび 
さても命はさてもいのちは 
あるものをあるものを 
憂きにたへぬはあきにたえぬは 
涙なりけりなみだなりけり
道因法師どういんほうし
(藤原敦頼ふじわらのあつより)
83世の中よよのなかよ 
道こそなけれみちこそなけれ 
思ひ入るおもいいる 
山の奥にもやまのおくにも 
鹿ぞ鳴くなるしかぞなくなる
皇太后宮大夫俊成こうたいごうぐうのだいぶとしなり
(藤原俊成ふじわらのとしなり)
84ながらへばながらえば 
またこのごろやまたこのごろや 
しのばれむしのばれん 
憂しと見し世ぞうしとみしよぞ 
今は恋しきいまはこいしき
藤原清輔朝臣ふじわらのきよすけあそん
(藤原清輔ふじわらのきよすけ)
85夜もすがらよもすがら 
物思ふころはものおもうころは 
明けやらであけやらで 
閨のひまさへねやのひまさえ 
つれなかりけりつれなかりけり
俊恵法師しゅんえほうし
86嘆けとてなげけとて 
月やは物をつきやはものを 
思はするおもわする 
かこち顔なるかこちがおなる 
わが涙かなわがなみだかな
西行法師さいぎょうほうし
(佐藤義清さとうのりきよ)
87村雨のむらさめの 
露もまだひぬつゆもまだひぬ 
真木の葉にまきのはに 
霧立ちのぼるつゆたちのぼる 
秋の夕暮れあきのゆうぐれ
寂蓮法師じゃくれんほうし
(藤原定長ふじわらのさだなが)
88難波江のなにわえの 
芦のかりねのあしのかりねの 
ひとよゆゑひとよすえ 
みをつくしてやみをつくしてや 
恋ひわたるべきこいわたるべき
皇嘉門院別当こうかもんいんのべっとう
89玉の緒よたまのおよ 
絶えなば絶えねたえなばたえね 
ながらへばながらえば 
忍ぶることのしのぶることの 
よわりもぞするよわりもぞする
式子内親王しょくしないしんのう
90見せばやなみせばやな 
雄島のあまのおじまのあまの 
袖だにもそでだにも 
ぬれにぞぬれしねれにぞぬれし 
色はかはらずいろはかわらず
殷富門院大輔いんぷもんいんのたいふ
91きりぎりすきりぎりす 
鳴くや霜夜のなくやしもよの 
さむしろにさむしろに 
衣かたしきころもかたしき 
ひとりかも寝むひとりかもねん
後京極摂政ごきょうごくせっしょう前太政大臣さきのだいじょうだいじん
(九条良経くじょうよしつね)
92わが袖はわがそでは 
潮干に見えぬしおひにみえぬ 
沖の石のおきのいし 
人こそ知らねひとこそしらね 
かわく間もなしかわくまもなし
二条院讃岐にじょういんのさぬき
93世の中はよのなかは 
常にもがもなつねにもがもな 
渚こぐなぎさこぐ 
あまの小舟のあまのこぶねの 
綱手かなしもつなでかなしも
鎌倉右大臣かまくらのうだいじん
(源実朝みなもとのさねとも)
94み吉野のみよしのの 
山の秋風やまのあきかぜ 
小夜更けてさよふけて 
ふるさと寒くふるさとさむく 
衣うつなりころもうつなり
参議雅経さんぎまさつね
(藤原雅経ふじわらのまさつね)
95おほけなくおおけなく 
うき世の民にうきよのたみに 
おほふかなおおうかな 
わが立つ杣にわがたつそまに 
墨染の袖くろぞめのそで
前大僧正慈円さきのだいそうじょうじえん
96花さそふはなさそう 
嵐の庭のあらしのにわの 
雪ならでゆきならで 
ふりゆくものはふりゆくものは 
わが身なりけりわがみなりけり
入道前太政大臣にゅうどうさきのだいじょうだいじん
(藤原公経ふじわらのきんつね)
97来ぬ人をこぬひとを 
まつほの浦のまつほのうらの 
夕なぎにゆうなぎに 
焼くや藻塩のやくやもじおの 
身もこがれつつみもこがれつつ
権中納言定家ごんちゅうなごんさだいえ
(藤原定家ふじわらのさだいえ)
98風そよぐかぜそよぐ 
ならの小川のならのおがわの 
夕暮れはゆうぐれは 
みそぎぞ夏のみそぎぞなつの 
しるしなりけるしるしなりける
従二位家隆じゅにいいえたか
(藤原家隆ふじわらのいえたか)
99人も惜しひともおし 
人も恨めしひともうらめし 
あぢきなくあじきなく 
世を思ふゆゑによをおもうゆえに 
物思ふ身はものおもうみは
後鳥羽院ごとばいん
100ももしきやももしきや 
古き軒端のふるきのきばの 
しのぶにもしのぶにも 
なほあまりあるなおあまりある 
昔なりけりむかしなりけり
順徳院じゅんとくいん

お気に入りの一首があるといいですね!

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