はじめに
動詞には
「自動詞」と
「他動詞」
という種類があります。
これらは、その動詞が何に働きかけるかによって区別されます。
現代語ではそこまで気にする必要はありませんが、古文においては割と意識する必要がありますので、ここで理解していきましょう。
ちなみに以下の記事に用言(動詞・形容詞・形容動詞)について簡単に書いてます。参考にどうぞ。
それでは確認しましょう。
概要

自動詞と他動詞の見分け方でもっとも簡単なのは
「~が」は自動詞
「~を」は他動詞
ということです。
また古文では、同じ動詞でも活用の種類が異なり、それにより自動詞・他動詞かを判断することがあります。
解説
口語文法における自動詞・他動詞
自動詞とは
自動詞とは、その動詞が主語に対して働きかけるような動詞をさします。
たとえば、
- 彼がにっこりと笑う。
- 鳥のヒナが生まれる。
- 棒がぐらっと倒れる。
上の例で動詞は「笑う」「生まれる」「倒れる」です。そしてこれらの動詞は自動詞です。
これを判断するためには、これらの動詞が働きかけている語が「主語(~がの部分)だけ」であるかどうかという点を見ることです。
「笑う」は「彼」、「生まれる」は「鳥のヒナ」、「倒れる」は「棒」に働きかけています。
しかしもっとも簡単な判断方法としては「~が~する」という形になっているかどうかで構いません。
「~が」は主語を表し、「~する」は動詞を表します。
- 彼がにっこり笑う。
- 鳥のヒナが生まれる。
- 棒がぐらっと倒れる。
このようなものを「自動詞」と言います。
他動詞
自動詞が「主語だけ」に働きかけるのに対して、
他動詞とは、他の語にも働きかけるような動詞を指します。
たとえば、
- 私が彼を笑う。
- 鳥のヒナを生む。
- 棒をぐらっと倒す。
「笑う」は「彼を」、「生む」は「ヒナを」、「倒す」は「棒を」に働きかけています。
このように主語でないものに働きかけるような動詞を「他動詞」といいます。
しかし、もっとも簡単な判断方法は、「~を~する」という形になっているかということです。
「~を」は働きかけられる語(目的語)、「~する」は動詞を指します。
「目的語」とは簡単にいうと、「~を」にあたる言葉です。
- 私が彼を笑う。
- 鳥のヒナを生む。
- 棒をぐらっと倒す。
このように「自動詞」と「他動詞」は似て非なるものです。区別できるようになりましょう。
極論!自動詞・他動詞の見分け方
- 自動詞→「~が~する」
- 他動詞→「~を~する」
自動詞のみ・他動詞のみの動詞
ちなみに、「死ぬ 」「生まれる」などの動詞は、「〜を」(ヲ格)を取れないので、自動詞にしかなりません。
例)子どもが生まれる。・・・〇
例)子供を生まれる。・・・✕
また「見る」「与える」などは、「〜を」(ヲ格)を伴うことで文が成立するので、これらの動詞は他動詞にしかなりません。
例)私は彼を見る。・・・〇
例)私は見る。・・・✕(何を見るのか分からないため✕になる)
このように自動詞にしかならないものや他動詞にしかならないものがあるなかで、
「笑う」「開く」など、自動詞、他動詞どちらにもなるものもあります。
例)ドアが開く。(自動詞)
例)ドアを開く。(他動詞)
【応用】文語文法における自動詞・他動詞
突然ですが、古文です。
- 我立つるとき、
- 我立つとき、
この違いがわかりますか?どちらが自動詞で、どちらが他動詞でしょうか。
両方「立つ」という語がありますが、実は、7「立つる」は他動詞(~を~する)で、8「立つ」は自動詞(~が~する)なのです。
なぜそれがわかるのかというと、答えは活用の仕方です。
7「立つる」は下二段活用の連体形で、8「立つ」は四段活用の連体形です。
自動詞・他動詞はこのように活用の種類が異なることが多いです。そのため活用の種類からその語が自動詞なのか、他動詞なのか判断できます。
その自動詞と他動詞は先ほど書いたように、「~が~する」と「~を~する」で訳が違うので、その語が自動詞か他動詞を判断できるようになりましょう。
さきほどの7,8はこのような訳が取れます。
- わたしが(何かを)立てるとき、
- わたしが立ちあがるとき、
このように解釈がことなってきますので、注意していきましょう。
ちなみに、活用のさせ方、活用の種類等は以下をご参照ください。
以上が自動詞・他動詞についてでした。
冒頭にも書いたように古文では割と大切なので押さえたいところです。
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