はじめに
本記事では終止形と連体形の識別の仕方を書きます。
1、わたしはご飯を食べる。
2、わたしはご飯を食べることが好きだ。
この二つの「食べる」は両方同じ形にみえる「食べる」ですが、実は活用形が異なるのです。
この見分け方は非常に重要ですが簡単です。今回でマスターしましょう!
以下の記事にも簡単に書いてありますので参考にしてください。
概要
口語文法と文語文法の用言をまとめたものです。
赤字は終止形と連体形が同じ形であることを示します。
なお、「✖」はそこに該当するものがないことを表します。
【終止形と連体形の識別】
〇終止形は、「。」で終わる。
〇連体形は、体言に連なる。
〇係助詞「ぞ・なむ・や・か」が文中にあるときの文末は連体形
〇係助詞「こそ」が文中にあるときの文末は已然形
解説
終止形と連体形の意味
動詞と形容詞は、口語文法(現代語)において終止形も連体形も、以下の表のように同じ語の形になります。
この表には比較として形容動詞を載せていますが、形容動詞は終止形と連体形が異なる形です。
この表からわかるように動詞と形容詞は、終止形と連体形がそれぞれ同じなのですが、これをどう識別するのでしょうか。
終止形と連体形を区別するにあたりまず考えたいことが、
そもそも終止形・連体形とはどういう意味なのかということです。
終止形・・・文などを終止させる(終わらせる)形
連体形・・・体言(名詞・代名詞)に連なる形
この意味の違いが識別の際の肝になってきます。
まずはここを理解しておきましょう。
識別(現代語)
1、わたしはご飯を食べる。
2、わたしはご飯を食べることが好きだ。
この二つの「食べる」、どちらが終止形でどちらが連体形かわかりますか。
正解は
1が終止形で、2が連体形になります。
これはなぜか。
1、は「食べる」のあとに「。」がついて文が終止しています。
終止形とは「文などを終止させる形」のことですので、
「。」で終わることは「食べる」が終止形であることの判断基準の一つです。
次に、
2、は「食べる」のあとに「こと」がついているので、「食べる」が「こと」という体言(名詞)に連なっていると言えます。
連体形とは「体言に連なる形」のことですので、
「これ」に連なっていることは「食べる」が連体形であることの判断基準の一つです。
このように、
終止形と連体形を識別するために、以下のようなことを押さえておけば問題ありません。
用言(動詞・形容詞・形容動詞)の後ろに体言(名詞・代名詞)がある場合、その用言は連体形であると判断できる
識別(古文)
【基礎】
口語文法においては、動詞と形容詞では終止形と連体形が同じ語の形と学びました。
それでは文語文法ではどうなのでしょうか。
この表からわかるように、
動詞の四段活用と上一段活用と下一段活用の終止形と連体形が同じの語の形になります。
これを終止形と連体形のどちらであるかを識別するためには、口語文法のときと同じく、体言に連なっているかどうかで見分けましょう。
【発展】係り結びの法則
ここまで終止形は「。」で終わるときと学んできましたが、なかには「。」で終わっても終止形ではない場合があります。
- 人、・・・・・・とぞ思ふ。
この「思ふ」の活用形は何になるでしょうか。
「。」で終わっているから終止形でしょうか。
正解は、連体形です。
このように文末が「。」で終わっているのに連体形であることがあります。
それが「係り結びの法則」です!
それではさきほどの例文についてですが、
「思ふ」は四段活用動詞なので、終止形も連体形もどちらも「思ふ」となります。
これが単純に、
- 人思ふ。
- 人の思ふことは、
のような場合、
2の「思ふ」は終止形で
3の「思ふ」は連体形です。
しかし、
- 人、・・・・・・とぞ思ふ。
の場合の「思ふ」は連体形です。
ここで注目したいのが、「ぞ」です。
この「ぞ」はいわゆる「係助詞(係り助詞)」で、これが文中にあると、その係る部分が連体形になります。
今回は「ぞ」の後ろにある語は「思ふ」しかないので、「ぞ」は「思ふ」に係っています。
ですので、「ぞ」の係る「思ふ」は連体形になるのです。
そしてこのような、係る部分の活用形を変えるルールを係り結びの法則といいます。
これは超頻出です。
係り結びの法則を起こす語は「ぞ」だけではなく、
「ぞ」「なむ[ん]」「や」「か」「こそ」の5つが係り結びの法則を起こします。
ただし注意するのが
「ぞ」「なむ」「や」「か」は係る部分を連体形にして、
「こそ」は係る部分を已然形にします。
- 人、・・・・・・とぞ思ふ。(連体形)
- 人、・・・・・・となむ思ふ。(連体形)
- 人、・・・・・・とや思ふ。(連体形)
- 人、・・・・・・とか思ふ。(連体形)
- 人、・・・・・・とこそ思へ。(已然形)
これは定期テストにも入試にも頻出なので必ず区別できてほしいところです。
係り結びの法則の詳しい用法はまた別の記事で学びましょう。
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