はじめに
文の成分・要素とはなにかを考えるにあたり、文節とはなにかを理解しているとわかりやすくなります。
文節が大丈夫な方はここは読み飛ばしてください。
文節とは、文を区切っても意味が不自然にならない最小の単位のことで、
①自立語のみ、②自立語+付属語(+付属語)
のどちらかで構成されるものです。
付属語とは助詞・助動詞のことで、自立語とは付属語以外のことを指します。
たとえば、
今朝、/昨日の/晩の/から揚げを/食べさせられた。
/ は文節の区切り
のように区切られるものです。そして上の例文は5文節ということになります。
以下は文節に関係する補助記事です。
上の記事はそもそも文節とは何かを「文章」「文」「単語」の説明もしながらまとめたものです。
また下の記事は、文節の分け方を「ネ・ヨ」を使わずに分ける方法です。
参考にしてみてください。
それでは文節を踏まえたうえで文の成分・要素とは何かを確認します。
概要

上が文の成分・要素(以下文の成分)の概要になります。
文の成分とは
- 主語
- 述語
- 修飾語
- 被修飾語
- 独立語
- 接続語
を指します。
そしてこれらは文節であり、それぞれの文節同士で関係があります。
①主述の関係
②修飾・被修飾の関係
③独立の関係
④補助・被補助の関係
詳しくは次章にて解説します。
解説
文の成分・要素とは?
文の成分・要素(以下、文の成分)とは、
①主語
②述語
③修飾語/被修飾語
④独立語
⑤接続語
のことです。
ここでは①主語②述語③修飾語/被修飾語④独立語⑤接続語に分類しますが、
修飾語と被修飾語を別々にすることや
接続語を独立語の一つとみなす場合もあります。
ただ基本的にこれらのものが文の成分になります。
ですので
「主語」「述語」「修飾語」「被修飾語」「独立語」「接続語」
という言葉は覚えましょう。
文の成分・要素
- 主語
- 述語
- 修飾語
- 被修飾語
- 独立語
- 接続語
文の成分同士の関係(文節動詞の関係)
「主語」「述語」「修飾語」「被修飾語」「独立語」「接続語」
が文の成分になりますが、これらはそれぞれ文節であり、
それぞれの文節同士で特定の組み合わせがあります。
後述しますがそれは、
①主述の関係(主語と述語の関係)
②修飾・被修飾の関係(修飾語と被修飾語の関係)
③独立の関係(独立語だけ、接続語だけの関係)
です。
そして「主語」「述語」「修飾語」「被修飾語」「独立語」「接続語」とは関係ありませんが、
④「補助・被補助の関係」というものもあります。
それでは次章より各関係を学んでいきましょう。
①主語・述語(主述の関係)
主語・述語とは、
主語は「~が」「~は」にあたるもので、
述語は、主語が「どうする」「なんだ」「どんなだ」かを表すものです。
たとえば、
- わたしは/わたしが 起きる
- わたしは/わたしが 高校生だ
- わたしは/わたしが 元気だ
という例文では、「わたしは/わたしが」が主語にあたります。
また1、「起きる」2、「高校生だ」3、「元気だ」はそれぞれ
「どうする」「なんだ」「どんなだ」にあたり述語になります。
このように
主語と述語は「わたしは/が、どうする/なんだ/どんなだ」
というようにセットになることが多く、
このセットのことを
主語述語の関係
主述の関係
と言ったりします。
みかたんごは「主述の関係」といいます。
主述の関係
「~が/は」「どうする/なんだ/どんなだ」
のことを主述の関係という
「~の」が表す主語
- 足の速い彼はクラスでの人気者だ。
この例文で主語はいくつあるでしょう。
正解は二つです。
さきほど「~が/~は」主語と書いたので「彼は」が主語とすぐに気づいたでしょう。
そしてもうひとつは「足の」です。
「足の速い」は「足が速い」「足は速い」というように「の」を「が/は」と置き換えられます。
このように「の」が「が/は」に変えられる場合、「~の」は主語になることがあるので気を付けてください。
ただ「わたしのかばん」などの例文では、通常、「わたしがかばん」「わたしはかばん」とはならないので、この「~の」は主語ではありません。
「~の」が「~が/~は」に置換される場合、主語になる
「~は」と「~が」は助詞の種類が違う?
「~は」も「~が」もどちらも主語を表す助詞ですが、助詞の種類は異なります。
「~が」が格助詞であるのに対して
「~は」は副助詞となります。
「格助詞」「副助詞」については以下の記事に簡単にまとめています。
ここでは、「~は」が副助詞になる理由を書きます。
以下の例文を比較してみましょう。
- パイナップルが好き。
- パイナップルは好き。
比較すると、5、は単にパイナップルが好きであることを示すのに対して、
6、は「ほかの果物とは区別して、取り立ててパイナップルが好き」というニュアンスを副えています。
6、のように、5、「~が」に対して何か意味を副えている助詞を副助詞と言い、
「~は」も区別して取り立てる働きがある点で副助詞になります。
「~が」→格助詞
「~は」→副助詞
②修飾語・被修飾語(修飾・被修飾の関係)
「修飾」とは、ほかの言葉を詳しく説明することです。
ですので、「修飾語」とはほかの言葉を詳しくする語で、
「被修飾語」とは修飾語によって詳しくされる語のことです。
7.元気な彼はとても魅力的だ。
この例文では「元気な」「とても」が「彼は」「魅力的だ」を詳しくしているので、
「元気な」「とても」が修飾語で
「彼は」「魅力的だ」が被修飾語になります。
そしてこの「修飾している・されている」関係を、
修飾・被修飾の関係といいます。
他の言葉を詳しくする
→修飾語
他の言葉に詳しくされる
→被修飾語
③独立語(独立の関係)
これまでに「主述の関係」「修飾・被修飾の関係」というものを確認しましたが、
これらは主語と述語の二つの文節の関係を表す言葉・修飾語と被修飾語の二つの文節の関係を表す言葉でした。
しかし独立語とは、ほかの文節とは関係がなく独立している文節のことをいいます。
いわゆる一匹狼のようなものです。
- ほら、あの花をみてごらん。
- こんちには、今日も頑張りましょう。
- 1月1日、それは一年の始まりだ。
8「ほら」、9「こんにちは」、10「1月1日」などが独立語になります。
接続語
接続語はほかの文節と文節、文と文、段落と段落をつなぐ語で、いわゆる接着剤のような働きをします。
- 車または自転車で来てください。
- わたしは元気だ。なぜなら朝からいいことがあったから。
○わたしにも嫌いなものがある。人に言うことではないのかもしれないけれど、聞かれたから答えるわ。
○たとえば、まず、独りよがりな行為だろうと偽善者である人をバカにするやつは嫌いね。そんなやつには、「あなたにはどのくらいの価値があるの」と投げ付けてやるわ。・・・・・・
(○は段落はじめの一段下げの部分を示す。)
11「または」は「車」という文節と「自転車で」という文節をつないでいます。
12「なぜなら」は「わたしは元気だ」という文と「朝からいいことがあったから」という文をつないでいます。
13「たとえば」は「わたしにも嫌いなものが・・・答えるわ」という段落と「まず、・・・投げ付けてやるわ」という段落をつないでいます。
このようものを接続語といいます。
ちなみに、接続語は独立語の種類であるという考え方もありますが、ここでは別であるとしておきます。
④補助・被補助の関係
これを学ぶ前に動詞には「本動詞」と「補助動詞」があることを押さえておきましょう。
以下に詳細があります。
補助動詞とは、本来の動詞の意味を失い別の意味を持つようになった動詞のことです。
一方で本来の意味を有している動詞を本動詞といいます。
たとえば「いる」です。
(本)人がいる。
(補助)遊んでいる。
「いる」は本来「存在」を表す動詞ですが、補助動詞では「状態・継続」を表します。
この補助動詞のとき、「遊んで」という文節と「いる」という文節が「補助・被補助の関係」なります。
この補助動詞自体は古文でよく理解しておく必要がありますので、上の記事を読んでおくといいかもしれませんね。
本動詞…本来の動詞の意味を持つ
補助動詞…本来の動詞の意味を失い別の意味を持つ動詞
補・被補助助の関係
遊んでいる。→(被補助)「遊んで」と(補助)「いる」
コメント